不動産売却にかかる税金|計算方法・税率・3,000万円控除と確定申告

更新日 2026/10/09 執筆:売るイエ編集部

不動産を売って利益が出ると、ほかの所得とは分けて「譲渡所得」として所得税・住民税がかかります。利益は、売った金額から購入費用や売却費用を差し引いて計算します。マイホームなら、3,000万円の特別控除で税金がかからないことも多くあります。計算方法、税率、特例、申告の要否を順に説明します。

このページの内容

不動産売却でかかる税金の種類

売却時にかかる主な税金
税金かかる場面目安
所得税・復興特別所得税売却で利益(譲渡所得)が出たとき所有期間で税率が変わる(下の表)
住民税同上(翌年度に課税)長期5%・短期9%
印紙税売買契約書を作成するとき契約金額1,000万円超5,000万円以下で1万円(軽減税率)
登録免許税住宅ローンの抵当権を抹消するとき不動産の数に応じた定額

個人が自宅を売る場合、建物の売却代金に消費税はかかりません。利益が出なければ、所得税・住民税はかかりません。

譲渡所得の計算方法

税金がかかる利益(課税譲渡所得金額)は、次の式で計算します。

課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額

  • 譲渡価額:売った金額。固定資産税・都市計画税の精算金を買主から受け取った場合は、その額も含めます。
  • 取得費:土地・建物を買ったときの代金、購入時の仲介手数料・登記費用・印紙税など。建物は、所有期間の減価償却費相当額を差し引きます。
  • 譲渡費用:売るためにかかった費用。仲介手数料、売買契約書の印紙税、測量費、売るために行った建物の取り壊し費用など。
  • 特別控除額:マイホームの3,000万円特別控除などの特例を使う場合の控除額。

建物の減価償却費の計算

自宅など事業に使っていない建物は、「建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数」で減価償却費相当額を計算し、取得価額から差し引きます。償却率は木造0.031、木骨モルタル造0.034、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造0.015です。経過年数は6か月以上の端数を1年、6か月未満を切り捨てます。減価償却費相当額は取得価額の95%が上限です。

取得費が分からないとき

購入時の契約書がなく取得費が分からない場合や、実際の取得費が売った金額の5%より少ない場合は、売った金額の5%を取得費にできます(概算取得費)。売却額が大きいほど税額が大きく増えるので、購入時の売買契約書や領収書を探しておいてください。

税率は所有期間5年で変わる

譲渡所得の税率
区分所有期間(売った年の1月1日時点)所得税復興特別所得税住民税合計
長期譲渡所得5年を超える15%所得税額の2.1%(0.315%)5%20.315%
短期譲渡所得5年以下30%所得税額の2.1%(0.63%)9%39.63%
マイホームの軽減税率(6,000万円以下の部分)10年を超える10%所得税額の2.1%(0.21%)4%14.21%

所有期間は、実際に持っていた期間ではなく、売った年の1月1日時点で数えます。例えば2021年4月に買った家は、2026年中に売ると1月1日時点で5年未満のため短期、2027年1月1日以降に売ると5年を超えるため長期になります。復興特別所得税は2037年分まで所得税額に2.1%が加わります。

計算例

例1 15年住んだ自宅を売った場合

15年前に土地1,500万円・木造の建物1,500万円で買った自宅を4,000万円で売り、仲介手数料などの譲渡費用が150万円かかった場合です。

  • 建物の減価償却費相当額:1,500万円×0.9×0.031×15年=約628万円 → 建物の取得費は約872万円
  • 取得費:土地1,500万円+建物約872万円=約2,372万円
  • 譲渡所得:4,000万円−(約2,372万円+150万円)=約1,478万円
  • 3,000万円特別控除を使うと、課税譲渡所得は0円になり、税金はかかりません(申告は必要)。
  • 特例を使えない場合(自宅以外など)、長期の税率20.315%で約300万円です。

例2 取得費が分からない土地を売った場合

親から相続した土地を2,000万円で売り、譲渡費用が80万円かかった場合です(長期譲渡所得)。

  • 取得費が分からない:概算取得費は2,000万円×5%=100万円。譲渡所得は1,820万円で、税額は約370万円。
  • 親が800万円で買った記録が見つかった:譲渡所得は1,120万円で、税額は約228万円。

税制は2026年10月時点の国税庁の公表内容にもとづく概要です。計算例は端数処理を省いた目安です。適用要件や期限は改正されることがあるため、申告前に国税庁の最新情報を確認し、必要に応じて税務署や税理士に相談してください。

マイホームを売ったときの主な特例

3,000万円特別控除

自分が住んでいる家、または住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る家とその敷地は、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。主な要件は次のとおりです。

  • 親子・夫婦・生計を一にする親族など、特別な関係のある人に売ったものでないこと
  • 売った年の前年・前々年にこの特例や、マイホームの譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例を受けていないこと
  • この特例を受けるためだけに入居した家や、別荘などではないこと
  • 家を取り壊して敷地を売る場合は、取り壊しから1年以内に売買契約を結び、その間に貸駐車場などに使っていないこと

新居で住宅ローン控除を受ける予定がある場合は注意が必要です。新居に入居した年とその前年・前々年に3,000万円特別控除を受けると、住宅ローン控除は受けられません。入居した年の翌年から3年目までに旧宅を売ってこの特例を受ける場合も同じです。どちらが有利か、事前に計算して選びます。

軽減税率の特例

売った年の1月1日時点で家屋と敷地の所有期間がともに10年を超える場合、3,000万円控除後の課税長期譲渡所得のうち6,000万円以下の部分の所得税が10%(住民税4%)になります。3,000万円特別控除と重ねて使えます。

損失が出たときの特例

所有期間5年超のマイホームを売って損失が出た場合、新居を買って償還期間10年以上の住宅ローンを組むなど一定の要件を満たせば、損失をその年の給与所得などと損益通算し、引ききれない分を翌年以降3年間繰り越して控除できる場合があります。

税金がかからないケース

  • 売った金額が、取得費と譲渡費用の合計を下回った(利益が出なかった)
  • マイホームの3,000万円特別控除で、利益が0円になった(申告は必要)
  • 相続した空き家の3,000万円特別控除で、利益が0円になった(申告は必要)

確定申告が必要なケースと手続き

確定申告の要否
ケース申告
利益が出て、特例を使わない必要
特例を使って税額が0円になる必要(申告しないと特例を受けられない)
損失が出て、損益通算・繰越控除を使う必要
損失が出て、特例も使わない譲渡所得の申告は不要

申告期間は、売った年の翌年2月16日から3月15日までです。確定申告書に「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」を添付し、売買契約書や取得時の契約書、費用の領収書の写しなどを用意します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。

所得税は申告と同時に納め、住民税は翌年度に市区町村から課税されます。売却益が出ると、その年の所得が増えるため、国民健康保険料などの算定に影響することがあります。

よくある質問

家を売ったら税金はいくらかかりますか?

利益(譲渡所得)に、所有期間5年超なら約20.315%、5年以下なら約39.63%の税率をかけた額が目安です。利益は売った金額から取得費と譲渡費用を引いて計算し、マイホームなら3,000万円特別控除で税金がかからないことも多くあります。

売却で損をした場合も確定申告は必要ですか?

利益がなければ譲渡所得の税金はかかりません。マイホームの譲渡損失の損益通算や繰越控除を使う場合は確定申告が必要です。

購入した金額がわからない場合はどうなりますか?

売った金額の5%を取得費とすることができます。実際の取得費がわかる契約書や領収書があれば、それを使ったほうが税額は少なくなることが多いため、早めに探しておきましょう。

3,000万円特別控除を使えば確定申告はしなくてよいですか?

申告が必要です。特例は確定申告をしないと受けられません。

所有期間の5年はいつから数えますか?

買った日(引き渡しを受けた日または契約日)から、売った年の1月1日までで判定します。相続した場合は、亡くなった人が買った日を引き継ぎます。

3,000万円特別控除と住宅ローン控除は併用できますか?

新居に入居した年とその前年・前々年に3,000万円特別控除を受けると、新居の住宅ローン控除は受けられません。どちらが有利か計算して選びます。

住民税はいつ払いますか?

所得税は確定申告と同時に納め、住民税は申告の内容にもとづいて翌年度に市区町村から課税されます。

この記事の監修者

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中村亮太宅地建物取引士

宅地建物取引士として10年以上、不動産売却・査定・中古住宅売買などの実務に携わる。不動産市場のデータと現場経験をもとに、売主が判断しやすい正確でわかりやすい情報提供を心がけている。

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